アンタを嫌いになりたい

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 赤らんだ顔に潤んだ目。誘ってるように艶めかしい…が、今はそれどころではないと、額を合わせてみれば熱は無さそうで安心した。  「熱はないな」  「ぁ…は、い…大丈夫です」  「体調が悪かったなら電話で言ってくれて良かったんだぞ?商談はまた次の機会にしよう。今日はここで休んでいくといい」  「は、いや、いえっ、大丈夫ですからっ」  「無理をするな」  「いえホントに大丈夫です…」  頑なに拒む日置に、仕方のないヤツだと肩を竦めて、手を引いてベッドから起き上がらせた。  「下で食事をしようと思っていたが、ルームサービスを頼もうか」  「えぇ…もぅそれでお願いします」  力なく頷いた日置は、やはり具合がよくないようだな。  「軽めのものがいいだろう。和食も頼めるが雑炊にでもしようか?」  「…雑炊、じゃあそれで…」  改めてソファーに座らせると身の置き場が無さそうにソワソワと視線を彷徨わせていた。  「日置、そんなに緊張しなくても大丈夫だ」  安心させるように笑うと、赤らんでいた顔が更に赤くなる。  「可愛いな」  「…は?」  ついポロッと口から飛び出した本音に、日置がワタワタと手を振りながら「ぜ、全然っ可愛くないですっ、ホントに可愛くないですからっ!」と華奢な身体を小さく縮こませた。
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