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09~ノヴァ
インプは教会の地下牢にいれられて手足を鎖で繋がれた。
コツコツと、何者かがくる足音が聴こえてきてインプは、そちらに顔を向けた。
「これはこれは、驚いたぞ。貴様は、十数年前に私が自ら火破りにしたはずなのだがのぅノヴァ・アルテミスよ」
インプは、話しかけてきた男を睨めつけた。
「マシュー、貴様はますます人間には見えなくなったな」
ガッ!
インプは、マシューの隣にいたエクソシストの一人に懲罰棒でぶっ叩かれた!
「悪魔風情がッ! マシュー様になんたる口を聞いておるのだッ!」
エクソシストは、怒声をあげた。
マシューは、スッと手を出すと
「やめろ……奴には聞かねばならぬことがある」
っと、言った。
「マシューよ、アッシュレイともう一人の女の行方を吐け」
プッ!
インプは、マシューの頬に唾を吐きかけた。
「マシュー様っ!」
仲間のエクソシストが駆け寄る……
「誰が貴様になど教えるかッ! 貴様があの娘にした事は、到底人間のする事ではないッ!」
インプは、怒りを隠そうともしなかった。
「貴様には、あれよりも苦痛を与えたはずなのだが、よほどあの娘が大切とみえるのぉ」
牢屋に手を入れて、インプの髪をぎゅっと引っ張りあげるとマシューは、悪趣味に
「クッハッハッ!! 昔と変わらぬなぁ貴様の傲慢さは、死してから尚もなおらなかったか……おいっ! あいつを連れてこい!」
マシューは、唾を拭い髪を引っ張っていた腕をさげ声をあげるとエクソシストの男が一人、奥の突き当たりから縄でくくられた
『エリックッ!……』
を、連れて来た。
「目の色が、変わったなぁノヴァよ。うん?」
マシューは、実に楽しそうに笑った。
「今すぐ、エルヴェラの居場所を吐かねばこ奴は、ここで串刺しにするぞ」
マシューは、自分の腰につけていた剣を抜きエリックの喉もとにそれを突きつけた。
インプは、ギリリッ!っと歯軋りした。
「イ……プ、言うな……俺の事は気にしなくて良い」
マシューから拷問を受けたのであろう。
エリックの頬には青アザが痛々しく浮かび上がっていた。
『あまり、余裕のある表情にはみえんな……』
迷ったインプは、口を開いた。
「エルの居場所は……」
「……インプ言うなッ!」
エリックは、縄をしっかりと持っていたエクソシストにおもいっきり体当たりしたッ!
インプは、ニヤリと笑った
「後ろだ……」
突如、煙幕が視界を覆った。
「なんだッ!」
エクソシスト達は、うろたえていた。
そして、
エルが飛び込んで来てマシューに剣を振り上げたッ!
ガッキンッ!
マシューは、それを防ぎ少し後ろに下がった。
この隙に、エルは煙幕があっがた時にエクソシストの懐から奪った鍵をアッシュレイに投げた。
「アッシュレッ!」
「わかっているッ!」
アッシュレイは、牢屋に入りインプの足枷を外した。
エリックとエクソシストは、ヨロヨロと同時に立ち上がろうとしていた。
「エリックッ!」
エルは、マシューと対峙しているにも関わらずよそ見をした。
それは、ほんの一瞬の出来事だった。
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