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15~内部犯
狩りから戻って来たノヴァとセリムは野鳥や兎などを捕らえてきた。
まぁ、とってきたところで血ぬきしたり色々下処理がある為今日の物にはならないが。
ルナは、
「明日は鳥鍋ね」
今日の夕食のソーセージスープ鍋をお玉でかき混ぜながら言った。
「明日は久々の肉だ!」
ノヴァは、目を輝かした。
「あなた達、普段いったい何を食べているの?」
ルナは、複雑そうな顔をした。
そうして、出来たスープを卓に並べると。
セリムは自分の部屋からワインを一瓶だし皆のグラスに注ぎ入れてくれた。
エルは、固いパンをちぎってスープにひたすとそれを口に運んだ。口の中にジュワっとパンに染み込んだスープの味が広がり思わず笑みがこぼれた。
その顔を見たルナは、思わず
「かわいいわねこの子……」
っと、もらした。
「だろう」
何故だかノヴァが得意げに言うので皆おかしくなって笑ってしまった。
「あなた達これからどうするつもりなの? やっぱりマシューの悪行を阻止したいのよね?」
ルナは、食べるのを中断し訊いた。
「そのつもりです。現在私たちに味方してくれている方が大聖堂へと向かってくれていてその方が、マシューのしている行動を公にあかしてくれさえすれば私にも勝機はなるのですが……」
「頼りは、大聖堂にいるジョン牧師だ。彼が告発状を出してくれさえすればマシューの信用も地に落ちる」
ノヴァは、力強くそう言った。
しかし、ルナは
「そうそう上手く事が運ぶかしら……今までだってマシューを目の敵にする人達はたくさんいたわ。だけど、マシューはなぜだかスルスルとうまい具合にそこに味方を送りこんだりして阻止してきたじゃない」
っと、告げた。
「確かに……マシューにはやっぱり相当頭の切れる味方がいるように思えるわね。ノヴァは、それが誰だか検討つく?」
エルが訊く。
「まったく……ただ奴の周りにはたくさんのエクソシスト達がうろついているしな。奴の周りにいる奴らみんな怪しくみえてきちまうんだよ」
ノヴァは、腕を組み考えを口にだした。
「むしろ、そこに捕らわれてはいけないのでは?」
さっきまで淡々と話しを聴いていたセリムが急に口を挟んだ
「どういう事?」
エルもノヴァもルナでさえもセリムに顔を向けた。
「今まで、マシューって人に恨みを抱いてそうしてきた人達がいるのに何故だかそれが大聖堂まで行き着かない。そんな偶然がいつまでも続くとしたら……」
「大聖堂の中にマシューの味方がいるっ!?」
エルとノヴァは、ほとんど同時に叫んだ!
「そのとおり!!」
セリムは、にんまりとしたのである。
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