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16~試行錯誤
先ほどの話しを参照すると、マシューには大聖堂に仲間と言える輩がおり先に行かせたアッシュレイの身が危ぶまれるという事になる。
「アッシュレイは、大丈夫かしらね……」
エルは、神妙な面持ちをしながら隣に座るノヴァをみやる。
「心配だな。大聖堂へ着くなり捕らえられている可能性もあるとなると……どうにかして助け出したいところだが、エリックの時の事を考えると下手に動けば奴らの思うツボになってしまいそうだしなぁ」
ノヴァも神妙な面持ちになって言った。
セリムは、二人の顔色を伺いながら
「二人ともお葬式みたいな顔になってますねルナ様」
っと、話しをルナへふった。
「そうね。二人の味方をしてくれたアッシュレイという方が酷い目にあってなきゃ良いけれど……」
「でしたら、こういうのはどうでしょうか? 僕が研修生か誰かになりすまして大聖堂の様子を探ってくるのです。ノヴァ様もエル様も顔が割れてしまっているので」
「セリム俺は、関係のない者を巻き込むのは反対だ」
「私もよ」
「しかしっ!」
「セリム、申し出はすごくありがたいがお前は姉さんの側にいてやってくれ。それが俺にとっては一番ありがたい」
「ノヴァ……」
ルナは、困った顔をして弟の顔を眺めた。
一堂は、しばらく沈黙していたのたが、ルナは何かを思いついたらしく急に席から立ち上がり診察室の方へ姿を消したがすぐに出てきて手に何かを抱えてきた。
「これ、ホームパーティーを去年した時に使ったのだけどうまくいくかしらね? これでノヴァが昔うちに忘れていった牧師衣着てれば案外ばれないで忍びこめないものかしら」
ルナが、抱えていたのはゴワゴワとしたパーマのかつらやら眼鏡などの変装道具だった。
「不安要素たっぷりだけど今はこれにかけてみるか。なぁ、エルどう思う?」
「この案に賛成してみる他に方法はなさそうね。それに、なんだか変装ってワクワクしない?」
エルは、ニヤリと笑うとそう応えたのであった。
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