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17~大聖堂
「鳥鍋食べたかったわね……」
「それな……」
エルとノヴァは大聖堂の高い建物へ忍び混んでいた。
エルは、シスターの白い修道服に身を包みこみ、一方、ノヴァは姉から借りた茶髪のかつらにくろ黒い牧師衣を着ている。
建物の中は、洋館のようなつくりで廊下の壁はレンガでところどころにはめてある窓はステンドグラスで出来ている。
「これ、バレないかしら?」
エルは、スカートの裾を軽くつかみながら訊いた。
「知り合いに会わない事を願う。はやいところアッシュレイに関する情報を集めなきゃな。エルは、厨房にでも行って情報収集してきてくれ、俺はこの建物を一回りしてみる。夕方の四時の鐘には、この使われていない部屋に戻ってくることって事でどうだ?」
「それで大丈夫よ」
そうしてエルはノヴァと別れ厨房へと、とりあえず顔を出してみた。
厨房の中では、ちょうど昼食の用意をしているようで大鍋に火をかけており暖かい空気がながれてきた。
大鍋の中のビーフシチューをヘラでかけ混ぜていた厨房係が
「ねぇ、さっき赤毛の男の方とすれ違ったのだけど、どこの部署の方なのかしらね?」
っと、言った。
それを聞いていたおばちゃま達が
「まぁ、キャサリンったらまた良い男でも見付けてきたの?」
っと、笑った。
「そうよ。その男の方、マシュー様の愛弟子のドトグリフと一緒にいらしたからきっと有名な牧師様か何かなのだろうと思ってね」
廊下でこっそり盗み聞きしていたエルは、こんなにはやく情報が手に入るなどとは思っていなかった。
……アッシュレイは、やはり捕まっている可能性が高いのか。っとなると、
エルは、胸ポケットから白い粉を取り出すと
「あの~ドトグリフ様のお部屋に行きたいのですがどなたか案内をして頂いてもよろしいですか?」
っと厨房の中へと入った。
エルの困っている声をきいてさっきの鍋をかき混ぜていたキャサリンという娘が
「私が連れていくわ」
っと、進みでた。
「あなた、みない顔よね?」
「ええ、今日から見習いで来たので皆さんにごあいさつをと思ったのですが広くて道に迷ってしまいまして」
「あっそっか! 今日から研修で何人か入るの私もすっかり忘れていたわ」
都合の良いことに、今日から十数名見習いシスターと牧師が入っているらしい。
「ここを、曲がったつきたありの部屋よ」
「ありがとう」
エルは、良い情報が手に入り満面の笑みを浮かべながらお礼を述べたのである。
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