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20~騒然
大広間へと続く大きな扉へ、ノヴァは悪魔特有の黒魔術で禍々しい黒炎の玉を勢いよくぶちかましたッ!
すごい轟音と砂ぼこりとともに粉々に消し飛んだ扉をこえてノヴァは、大広間の中にまんまと入りこんだ。
「ノヴァッたら何考えてんのッ!? あんな大胆に入ったらまんま悪魔が悪いことにされちゃうじゃないのッ!!」
上の階の窓から騒ぎの様子を観ていたエルは、そう言って居ても立っても居られなくなり目の前の窓から下の大広間へと続く道に、勢いよく着地しそのままノヴァの後を追った。
大広間の中は、突然なくなった扉から飛び込んで来た小さな悪魔に皆、釘付けになった。
「ここにお集まりの皆様聴いて下さい。私は、生前大聖堂でノヴァ・アルテミスという神父でしたッ! この名前を覚えている方がいましたらどうか聴いて頂きたい!! 私は、マシュー・ポプキンズに言われのない罪で縛り上げられ幾度となく拷問された挙げ句火破りにされたただの人間でした」
それを訊いた大広間にいた大勢の牧師やら神父達は、その話をどうやって信じて良いのかわからず、ザワザワと辺りはざわつくばかりであった。
「嘘はったりをかますのはいつもの悪魔達の薄汚い手ですぞ同志様達よ……」
静寂を破ったのは
「マシュー……」
ノヴァは、この場にマシューがいることを前もって知っていたのだ。そして、この場所に役者が揃っていることが何よりの狙いであったのだ。
「皆の者構えッ!!」
マシューの掛け声で辺りにいたエクソシスト達は、それぞれ武器をノヴァへと向けた。
「お待ち下さいッ!! ノヴァの言っている事は全部本当のことなんですッ!! 皆さん私の顔に誰か見覚えはありませんか?!」
エルがノヴァを庇って叫んだ!
その時、弱々しいがしわくちゃの年長シスターの手が上がったのだ。そしてシスターは、こう言った。
「エル……貴女は数年前シスター見習いでここへ来たエルヴェラでは?!」
「そうです。エルヴェラで間違いありません。私は、そこにいるマシュー率いるエクソシスト達に無実の罪で捕らえられました。そして、拷問をされていた中私を、救ってくれたのは牧師様や神父様やましてや神様でもなくそこにいる悪魔になれはてた優しい男、ノヴァですッ!」
辺りは、ますます騒ぎ立てる声が大きくなっていった。
「その話しが全て本当だとして、あなた方の事を信じるにあたる、かくたる証拠はあるのですかな?」
大広間でもよく通る低い声でその牧師は言った。
この人物こそが、あのジョン牧師である。
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