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21~証拠
「証拠……」
「証拠ならここにありますよ」
ざわつく空気の広がる大広間へ二人の男が割って入って来た。声の主は、アッシュレイである。
「証拠とは?」
ジョン牧師は、アッシュレイへ問うた。
皆も二人の会話に耳を傾ける。
「私は、そこにいるマシューに魔女からのスパイ容疑といった訳のわからない罪で幾日も地下牢に監禁されていたのですッ! そして、私を助けようとした優しき男! エリックを……いとも簡単に私達の目の前で殺したのですぞッ! そして、私をその牢屋から救ったのはそこの二人です。これでもまだ証拠がいると仰せなら先ほど後ろにいるクリストファーに渡した書類に今すぐ目を通して頂きたい!」
アッシュレイは、後ろにいたクリストファーをジョン牧師の座っていた席へと歩いていかせ書類を渡すよう促した。
そうしたやり取りの中、面白くなさそうに話しを聴いていたマシューが、懐にいれていた拳銃で銀の弾をエルへ迷いなく打ち込んだ!
しかし、弾を受けたのはエルを咄嗟に庇ったノヴァであった
床には、黒い血が広がって行く……
「ノヴァッ!!」
倒れて行くノヴァをエルは、支える。
たが、血がとまることはない。
「エル……良かった」
薄れゆく意識の中でノヴァは、エルへ微笑みをみせた。
そして……
それが、ノヴァのみせた最後の笑顔であった……
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