08~脱出

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08~脱出

 来た道を引きかえす三人。 「なぁ? 俺の縄ほどいてはくれないのか?」 アッシュレイが縄を持つエルに疑問を投げかけた。 「縄は、外に出られるまで我慢してくれ。あくまでエクソシストに捕まってる男を装ってもらいたいからな」 「なるほどな……」 アッシュレイは、納得した様子だ。  十分程歩きやっと先ほどのレンガの通路まで来た時だった。横道からスッと、エル達の前に一人のエクソシストの金髪男が、立ちふさがった。男は、すらりと高い背をしており腰に剣をさげていた。 エルは、すかさず男の前に出ると 「この者がマシュー様に呼ばれましたのでしばしここを離れ連れて行きます!」 っと、ごまかした。 男は、 「そうであったか。ご苦労……」 っと、言うと道を開けた。 『うまく切り抜けたか?』 エル、アッシュレイ、インプの順でその男の横を、通り過ぎようとした時! その男がいきなり、グイッっと、インプの腕を掴み、あいている左手で、こちらに閃光弾を投げつけて来たッ! 地面から、目映い光がほとばしった! 『マズイ! これはッ!』 エルは、自分の目を庇うと、 「インプッ! 目は無事か?!」 っと咄嗟にインプへと叫んだ! 「視界がまわる……」 インプは、腕をとられたまま膝をついて目を押さえていた。 「ほう、女……これが悪魔達の三半規管を脅かす物だと知っているのか? 何者だぁお前?」 ニヤリと、笑うエクソシストの男。 エルは、腰につけていた短剣をスラリと抜いた! インプを助けに入ろうと地を蹴ろうとしたのだが…… インプは、 ……「エルッ! 俺の事は、捨てていけ! 今はアッシュレイの脱出が最優先だっ!!」 っと、叫んだ! 「っち!」 エルは、舌打ちするとそのまま身を翻しアッシュレイの腕を引き、先を急いで走った。 「おいっ! 姉ちゃんッ!!」 アッシュレイは、自分だけ助かるのが嫌なのか引き返そうとしたが、エルは、 「戻ったところで私たちも捕まるだけだッ! 奴なら大丈夫だから行くぞッ!」 っと、必死で言った。 アッシュレイは、「くっ!」っと 歯痒い顔をしたが黙ってエルの後ろをついて走ってくれた。 エルは、アッシュレイを連れてようやっと地下水道の中に戻った。 『インプの馬鹿がッ! 自分が捕まったらこれかッ!』 ギリっと、奥歯を噛みしめながらエルはそれでも地下水道の中をアッシュレイとともに走り続けた。 そうして、走ること数十分追っ手が来てないことを確認したエルとアッシュレイは、ようやっと歩を緩めた。 二人が、ようやっとエリックと密会をした教会へと足を運んだ時は、朝日が登りはじめていた。
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