私と天さん

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私と天さん

私の母は小学生の時に亡くなって、父は別の家族と暮らしている。 祖父母は既に他界していたので、高校生になる頃には私は常に一人だった。 捨てられている生き物に弱いのは、自分と重ねてしまうから……死の直前だけでも誰かと居たいと、他ならぬ私自身がそう思っているから。 天さんは植物みたいだ。 静かにただそこにいて、何かを食べるわけでもするわけでもなかった。 植物と違うのは会話をすることと、時折笑ってくれること。 夜になると翼が痛むのか辛そうにするのが気の毒だけれど、薬も飲めないというので何もしてあげられないのがもどかしい。 それでもと背中を擦ると、天さんは弱々しく微笑んでくれる。 「サラは優しいな」 そう言われると何故か胸の奥が狭くなる感覚があって、痛むような苦しさに襲われた。 どうか少しでも長くこの天使が近くにいてくれますようにと、私はいつの間にか願うようになっていた。
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