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しかし、少し待ってもやはり天啓など来なかった。
仕方なしに僕は考える。
……いっそ、全部マヨネーズを付けてやろうか。
しかし、先日返ってきた健康診断の結果がそれを許さない。
マヨネーズというモンスターを無制限に相手にできるほど、僕の体も心も、もう自由ではないのだ。
であればマヨネーズなど付けずに食べろと思うのだが、確かに生姜焼きにマヨネーズはとてつもなく旨い。必ずしも付けるものでは無いためにマヨネーズという可能性を失念していたが、見てしまったからには付けたくなってしまうのは、それはもうどうしようもない。
僕は悩む。
しかしこれは日頃の運動不足の結果とも言える。高カロリーのものは控えるよう、結果シートに書いてあった。
思えば妻にも何度も運動不足を窘められてきた。
しかしその都度、面倒事を棚に上げ自らの健康に目を背けてきた、その怠惰が憎らしい。
つまるところ、僕にもう少し勤勉さ、あるいは素直さがあれば、こんなに悩むことも無かったのだ。
だからこそ、僕は天啓を望む。
しかし、おそらく舞い降りないであろう天啓を待っていては、生姜焼きは冷めてしまう。それは僕の本意ではない。
僕は泣く泣く、全てにマヨネーズを絡めて食べた。
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