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数日後、同じ定食屋にやって来た。
やはり変化の無いメニューに多少げんなりするが、以前の反省を踏まえ、僕はハンバーグ定食を注文することにする。
ハンバーグであれば、きっと1つ。多くて2つ。3つということは無いだろう。それにマヨネーズも無い。
これならば、エビフライの時のような奇数問題で迷うこともなければ、マヨネーズという悪魔に唆されることはないだろうし、無駄に天啓を待つ必要も無い。
そう思っていたら、驚いた。
お皿の上にはハンバーグが1つ。
しかし、ソースが2種類、付いてきた。
デミグラスソースと大根おろしソース。
……店側の配慮が恨めしい。
提供時に、どちらかをお好みでお掛けください、と言われたが、それであれば注文時に聞いてくれれば、無駄も出ないのではないかと思う。
でもそれはそれで僕は注文時に迷ってしまうので、結果は同じなのかもしれなかった。
いずれにしても、僕は迷う。
一体、どちらを掛けるべきなのだろうか。
お好みで、と言われても、僕はどちらも同じくらいお好みなので、優劣は付けられない。
しかし悩んでいてはハンバーグは冷めてしまうので、考えたあげく、ハンバーグを2つに割って、それぞれに異なるソースを掛けようと思う。
僕はナイフでハンバーグを2つに割った。
すると中から肉汁が溢れ出て、一気に流れ出ていってしまった。
肉の中から、勢い良く、流れてしまった。
……僕は、なんということをしてしまったのだろう。
流れ出た肉汁を前に、僕は愕然とする。
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