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僕は混乱する。
そもそも天啓ってなんだ? なんで僕は信じてもいない神に、わざわざソースの種類を選択してもらわなければならないんだ?
というか天啓って待ってれば下るものなのか?
いや、下るのか? それとも得るのか? どっちなんだ? 天啓は下るものなのか、得るものなのか、どっちなんだ? どちらが正しいかなんてどうでもいいけど、誰か僕を救ってくれるのか? 救ってくれるのであれば、なんでもっとマシな案件で救ってくれないんだ? 塩かソースかなんて細かい事に、わざわざ貴重な天啓を消費したくなんてないのに、なんでこんなことに天啓を使うんだ? いやまだ使ってないのか? というか天啓は来ないのか? 僕が神ではないから? 何なんだ。何なんだ一体。わけがわからん。
僕はもう、色々と嫌になってくる。
どうして天啓は来ないのだろう。
何故、僕はこんなにくだらないことで迷わなければならないのだろう。
一体どうして僕はこうなのだろう。
妻の料理であれば、こんなにも悩むこともなかったのに、何故僕は定食屋なんかにいるのだろう。
混乱が巡った挙げ句、1つだけ頭に浮かぶ。
……妻の料理が食べたい。
思い返せば、妻の料理はいつも偶数だった気がする。
ハンバーグなどの割り切れない料理に関しては、ソースはこれを掛けろと言わんばかりに、わかりやすく1種のみを添えてくれていた。
つまらない事ですぐ悩む、僕を気遣ってくれていたのかもしれない。
……感謝するしかない。
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