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「んぁ?」となんとも情けない声が聞こえてきた。
「ちょっと、どういう事? 調べたら瑞樹って、瑞樹って瑞樹?」
瑞樹が扉に向かってくる足音が聞こえてくる。扉を開くと満面の笑みの瑞樹が姿を現した。
「もう一生気付かないのかと思ってた」
「いや、だって、芸能人が人拾う?」
「芸能人の前に俺は人だからな。ってか拾ったのは番犬だ」
私は人ではなく犬として見られているらしい。それも子犬ではなく獰猛な番犬。
「まぁ、気付かないから良かったんだけど、さすがにあれで気付かれないと傷つくな」
そうだったのか。足を止めて見入ったせいで私は無意識に瑞樹を傷つけていたらしい。
「まぁ、これからも今まで通りよろしくな。あっでも人に自慢したり、匂わせたり、物転売したりすんなよ」
転売って、もしかして前の家事代行の人が転売していたのだろうか。
「しないよ。でもなんか不思議な感じ。今でも瑞樹は瑞樹なのに瑞樹はあの瑞樹なんだよね」
「何言ってんのか分かんねぇ。ってか、俺の事分かったことだし、明日からの現場についてくるか? 3泊の予定だから、千佳がいれば女装して町ブラもできるな」
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