瑞樹は瑞樹?

3/23
前へ
/309ページ
次へ
建物自体は新しいとは言えないまでも素敵なマンションで、住んでいる人たちも私のような一般庶民とは育ちからして異なると言わんばかりのオーラが漂っている。 スーパーもオーガニック中心や海外製品を集めた商品ばかりで私の感覚には合わない。 少し行くと普通のスーパーはあるものの、それでも値段は前に私が住んでいた所よりもわずかに高い。一等地と言う付加価値が野菜やお肉にもつけられているのかもしれない。 いや、普通に考えれば土地が高くその分利益を多く生み出さなければならないのだから価格に上乗せされているのだが、そういう夢のない大人な現実からは目を背けよう。 本はいい。どこで買っても一律のお値段だ。 本屋に入るとまずは深呼吸して紙の匂いを体中にしみ込ませる。遊園地に来たかのように心が躍る。 そしてついつい小説ゾーンに足が向いてしまう。私は無類の活字好きだ。 今の時代珍しいのかもしれないが、娯楽という娯楽に恵まれなかった私はほとんど毎日を図書館で過ごしていた。 図書館は無料行けるテーマパーク。
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1074人が本棚に入れています
本棚に追加