1075人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここにいりゃ転職しなくてもいいんじゃない?」
「それはありがたい話だけど、ずっとって訳にもいかないでしょ」
「俺はずっと千佳にいてもらっていいよ。この綺麗な部屋が保たれるなら」
そう言っている瑞樹の周りは既にゴミや服が散らかっていた。
泊りで持って行ったボストンバックもチャックは開いて中身が半分出ている。
きっと私が数日いなくなるだけでこの部屋は汚部屋を取り戻すのだろう。
「そんなこと言ったらここに寄生するよ」
「寄生しろよ。千佳は番犬みたいなもんだし」
番犬って……。用心棒からペットになってるし。
「後悔しても知らないよ」
「んじゃ、一生俺を守ってもらいますか。今日暇だろ? 出かけるぞ」
「ん? どこに?」
「行ってからのお楽しみ」
そう言って瑞樹は笑顔でソファーを飛び降り、バスルームに向かった。お風呂に入っているようだ。
それにしても、男子とひとつ屋根の下で危険ムードが一切ない。いいことではあるものの、なんだか自分に魅力が無いと言われているような気もしてしまう。番犬だし。
最初のコメントを投稿しよう!