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一瞬でお風呂から上がってきた瑞樹は珍しくドライヤーを使って髪を乾かしていた。そしてテレビ台の下にある化粧品を取り出して化粧を始めた。
もしかして……
「千佳も出かける用意しろよ。そのままで行くつもりか?」
私は長袖シャツに薄手のジャケットとジーンズという至って普通の恰好をしている。
「うん。そんなに服ないし」
少しは買い足したが、ほとんど同じなので着替える必要もない。
「そっか。んじゃ俺の服着れば?」
瑞樹の身長は、175センチあるだろう。だが、私も負けず劣らずの身長で168センチある。細い瑞樹の服なら私も着ることができるが、瑞樹の女装の恰好はまず私には似合わない。でも男の服なら……
「んじゃ、借りていい?」
「もちろん」
私は自分の部屋に行き、瑞樹の部屋のクローゼットに入りきらなかった服から適当に選んで着た。
ジーンズはそのままだが、上を変えるだけでちょっとおしゃれに感じるのは自分だけだろうか。
リビングに戻ると可愛い女の子が待っていた。
私が服をえらぶより女装の方が早いとは驚きだ。
「何それ?」
瑞樹は私の服装を見て目を点にしている。
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