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イラっとして睨みつけると彼は笑いながら友人の元に戻った。
女瑞樹は本当に男から声をかけられてしまうようだ。
気を取り直すように「結構平日でも多いね」と言うと瑞樹がうんと頷いた。
少し歩いたところで女子高生たちが見上げてキャッキャと騒いでいるのが見えた。なんだか気になり彼女達の目線をたどるとビルに設置されている映像広告を見ているようだった。
そこには大きな画面一面にかっこいい男性の顔が写っている。
ん? なんか見たことがある。
私は足を止めて目を凝らす。
ん? んん?
ツーブロックではないもののめちゃくちゃ瑞樹にそっくりだ。もちろん女装している瑞樹でなく、男子の姿の瑞樹にだ。
こんなにそっくりな人がいるんだと私は驚いていた。
テレビを見る習慣がなく、瑞樹の家でテレビがあっても付けたことがないので正直芸能関係にはめっぽう弱い。
小説の帯びに写真や映像化などで宣伝があれば少しは見覚えがあるかもしれないがそれでもほとんど覚えていない。
後でネタにしてやろうと思いながら私を見て待っている瑞樹と目を合わせた。
瑞樹が無表情で私を見ている。
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