瑞樹は瑞樹?

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だから千佳はこれまで気づかなかったのだろう。 俺は緊張しながら千佳の反応を待っていた。 しかし、俺の方を見た千佳は何事もなかったかのように歩き出した。 いや、それはそれでなんか傷つく。 あぁ、あんた芸能人だったの? 道理でこんなに若くていい所住んでたんだね、まぁ私はお金を貰えればそれで充分だからとでも思っているのだろうか。 何もツッコんでこない千佳にモヤモヤとしてきた。 興味がないという事だろうか。それとも最初から知っていた? 様々な不安や疑念を持ちながら千佳に確認すると単なるド天然だったようだ。 俺の事を芸能人のそっくりさんと思って納得していたようだ。 それならそれでいいだろうと思っていたが、俺が部屋に籠ると千佳はCMの事を調べたようで俺の事を見つけ出した。 仕事以外では一般人に気付かれたくないと思い続けていたが、千佳には気付いて欲しいと思っていた。千佳に成功している俺の姿を見て欲しいと。 だから俺はとても嬉しかった。千佳が俺に気付いてくれたことに。
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