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少し歩いてバーに着くと、二人は脇目も振らずにカウンター席に座って、小動物を撫でているのかと思ってしまうほど丁寧にグラスを拭いているマスターにとびきり強い酒を頼んだ。 「そういえば、ジョシュ、お前は結婚は考えていないのか?」 「結婚?結婚ねぇ…。だが俺に寄り付いてくる女なんて、アクセサリーが大量に欲しいだけだろ?少なくともそんなやつとは結婚はできないわな…。なんだよ、急にそんなこと聞いて。お前は結婚でも考えてんのか?もしかしてあの女と?」 「いや、それはないな。ただ、周りの連中が結婚していくのを見ていると少し不安でね。お前は一生独身貴族でやっていくつもりか?」 「ではないが、いずれにしろこの街にまともな女はいないじゃないか」 アレックスは言葉に窮して黙り込み、ひとしきり場は静寂に包まれた。 すると、静かだったテレビからかなりの大音量でニュースが流れてくる。 『今日夕方。ペンシルヴァニア州で、3万人にも上る大規模なデモ集会が行われました』というキャスターの台詞と共に、「我々は一つだ」と書かれた貧相な段ボールを掲げて労働者たちが声を枯らしながらも大声を上げ続る様子が映し出された。 アレックスは軽蔑的な笑みをこぼすと、「おいマスター、他にチャンネルはないのか」と聞いた。
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