49:父への制裁、きらめく金のピンバッジ

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 私はこのあと、寮の庭で行われた叙任式で、正式に副団長に任命された。  父がいなくなったので家に戻ることも考えたが、母の「家はまだあなたにとってつらいところでしょうから」と気遣いをしてもらったので、たまに顔を出すくらいに決めた。  訓練が終わると、私は小さな子どものごとく猛ダッシュでサヴァルモンテ亭に帰った。一分でも一秒でも早く伝えたい。 「エラさん! 聞いてください!」 「おぉ、何だい?」 「私、副団長になりました!」 「……ふ、副団長!?」  エラは持っていたスプーンを、思わず床に落としてしまった。お客さんが全員私を見ている。 「すげぇな、クリスタルちゃん! 大出世じゃねぇか!」  常連さんがスタンディングオベーションをすると、他のお客さんも続々とその常連さんの真似をする。  スプーンを拾って泡水につけたエラが手招きをした。もうこれだけで何をされるか分かっている。のこのこと厨房(ちゅうぼう)に歩いていく。 「よかったなぁ! でかした!」  エラは私を抱き寄せ、私の頭をなでる。 「あぁ、クリスタルが苦しんでるときからずっと見守ってきたあたしにとっては、クリスタルは子どもみたいなものだ。自分のことのように(うれ)しいよ」 「こうして仕事していられるのも、エラさんのサポートとおいしいご飯のおかげです。他にも感謝してもしつくせません。ありがとうございます」  初対面からお世話になりっぱなしのエラには、このように恩を返すしかない。まだぜんぜん恩は返し切れていないが。
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