49:父への制裁、きらめく金のピンバッジ

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「副団長なら、より『王子』三兄弟とお近づきになるのかー」  常連さんがつぶやく。 「『王子』って、どういうことですか?」 「知らないのか! じゃあ教えてやる」  また私だけ知らないことがあったらしい。 「国王のご子息であるマシュー王太子が、別名『尽善(じんぜん)尽美(じんび)の王子』と言われている。それにあやかって、王都の民が勝手に騎士団の三兄弟に別名をつけたんだ」  あー、勝手に言ってるだけなら知らなくても同然かな? 王都でそう呼ばれてるだけなら、元冒険者の私じゃ知りえないし。 「ディスモンドは『獅子(しし)奮迅(ふんじん)の王子』、リッカルドは『疾風迅雷(しっぷうじんらい)の王子』、オズワルドは『神出鬼没の王子』だ」  近くで接している私でも、確かに合っていると思う。よく見ているんだなと感心していると、 「そんな王子様たちに囲まれて、ハーレムじゃねぇか」 と、爆弾発言をされる。 「は、ハーレムっ!?」 「さてと。主人、お会計!」 「はいよ」  言ったら言いっぱなしの、言い逃げをして、その常連さんはさっさと店を出て行ってしまった。……ずるい。
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