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林進は倒れている棚に頭をぶつけて目が覚めた。 「痛、痛い……。こんなところに棚が倒れて……。 そうだ。昨日帰宅したら部屋を荒らされてたんだ~。警察の話だと、ここら辺の住宅街で何も取らずに家を荒らしてこんな可愛い猫のシールだけ置いて行くらしいな~。会社でストレスでも溜まっているのか?愉快犯?俺みたいなストレス抱えた サラリーマンかもな?なら少しは同情するよ」 林進はそんな事を考えながら携帯を見た。 「なんだ、まだ4時じゃないか?この棚のせいで早く起きてしまったな~。うん?着信履歴?身に覚えのない電話番号だな?録音されてるから聞いてみるか?な、なんなんだ……これは……」 林進は携帯の録音機能で録音されている声を聞いた。それは女か?男か?わからない不気味な笑い声だった。 「いったいどこで、俺の携帯の電話番号を知ったんだ?いや待てよ家を荒らした愉快犯だなたぶん? ただのいたずらか?それにしても不気味な声だな~声まで変えるなんて全く暇人だな、困ったものだ。一応後で警察に話しておくか」 林進は早く起きたので簡単な朝食を作り食事をして珈琲を飲みながらゆっくりと新聞を読んでいた。 「あれ?妻からのライン~そう言えば妻は友達の家に泊まってるんだよな?何時頃帰るのかな?」 林進は妻のラインを見て驚いた。 「もう、あなたとはやっていかれません」 たったこれだけの文章だった。 「何で?俺今までいい夫マイホームパパだったよね?何で?いきなり?」 林進は妻の携帯に電話を掛けた。 「なあ?これはどういう事なんだ?冗談だよね? 離婚するって本気なのか?俺は今までお前を専業主婦にして養ってあげてたじゃないか!旅行にも 連れて行ったし誕生日にはプレゼントも買ってあげただろう?何の不満があるんだよ!近所ではマイホームパパって言われているのに何で?」 妻は林に冷たく言った。  「私は結婚前から仕事をしたいってあなたに言ってたわ。なのにあなたは女は働かなくてもいいと 言って働こうとすると子供達に当たり散らし私にも暴言を吐いたわ!  お前みたいな馬鹿は俺みたいに稼げない誰の金で食わせてもらってるんだ怠け者! そう言ったわ。働くと家事を手伝うのが嫌だ子供の面倒を見たくない。そう言ってお前が会社辞めないと会社を休むと言って何度も会社を休んだわ!! そして仕方なく私は会社を辞めるはめになったのよ。辞めないとあなたが子供に暴力を振るうからね。もう娘達三人は結婚して家庭を持った。 これからは自分の為に生きたいの……さようなら 離婚届は郵送するからサインして役所に出しておいてね。私、実家に戻るから」 妻の林由利香はそう言って電話を切った。  「何で?俺が?こんなに家族を大事にしているのに何で?何で?俺がこんな被害を受けなければならないんだ。これから家事は誰がやるんだ?そんなの女の仕事じゃないのか?」  林進は自分が周りの人間にしてきた事が今、 自分に返ってきているとは思ってもみなかった。 反省すらしたことのない人間だった。  それでも林進は妻の電話をただの冗談だと思い。 心にも止めず会社に向かった。 出勤途中また林進の携帯に身に覚えのない電話番号から電話があった。  「ホームの一番前に立つと危ないよ。後ろから押されるかもしれないからね」 男か?女か?わからないその声は不気味だった。 会社の近くに着くとまた身に覚えのない電話番号から電話が掛かってきた。 「今日は無事でよかったね」 その不気味な声は林にとってとても恐ろしい恐怖でしかなかった。  着信拒否を設定しようかとも思ったが例え着信拒否をしてもきっと電話番号を変えて電話して来るに違いない。犯人を突き止めないと俺は本当に殺されてしまう。まずは警察に相談に行かないと……。 そんな事を考えながら会社に向かった。 会社に着くと二階の新人教育係の部屋に向かった。 ドアを開けた林進は 「おはようございます。社長も来ていたんですか?」 林進に社長の「伊勢島尾」は怒りながら言った。 「林君、君は何て事をしてくれたんだ!うちの 新商品の図面を他社に売るとは何事だ!君、今直ぐテレビを見なさい」 林は新人教育室のテレビがついていたので、それを見た。 「ライバル会社の文具ボード株式会社がうちの会社の新商品のペンの図面をテレビで見せている。 そしてこう話しているのだ。砂でもどこでも書く事が出来る世界初の画期的なペンを発明しましたとマスコミの前で。」 林進は社長に言った。 「何で?俺じゃありません俺は図面をいつもこの 金庫に入れています」 「じゃあ金庫を開けてみなさい。金庫の鍵を持っているのは君と会長だけだよね?君以外誰が取るんだ?誰が開けるんだ?会長は今病気で入院中なんだよ?それとも君図面をうっかり出しっぱなしに したんじゃないだろうな?会社にとって大切な図面を……」 林進はしばらく考えた。 「そう言えば……あの時……済みません社長、三日前会議室で最終打ち合わせをする時に図面を持って会議室に行こうとしました。  その時に急にお腹が痛くなってトイレに駆け込んだんです。その時に会議室の近くの休憩室のテーブルの上に少しだけ置いてしまいました。  休憩時間じゃなかったので休憩室に誰もいなかったので。もしかしたらその時、誰かに携帯で写真を撮られたのかもしれません」 社長は林進に怒りをぶつけた。 「画期的なアイデアを盗まれたのは君の責任だ。 一ヶ月時間をやる!君は自宅謹慎だ。その間に 一人で画期的な文具を考えて来るんだ」 林進は 「わかりました。済みませんでした」 そう言って謝った。 社長は林進に冷たく言った。 「一ヶ月以内に新しいアイデアを考えつかなければ君はクビだ解ってるな!辞表を持って来なさい」 林進が荷物をまとめて自宅に帰ろうとしたその時  また、身に覚えのない電話番号から電話がかかってきた。声を変えて……男か?女か?わからない声で…… 「お前を許さない」 「絶対に許さない呪ってやる」 「今までの恨み復讐してやる」 林進は言った。 「誰なんだ?お前は?」 林進に度々身に覚えのない電話番号から電話が掛かって来るようになっていた。 「この中に間違いなく俺の命を狙っている奴がいる。たぶん会社の中に?俺をどん底に突き落としてから俺の命を奪って俺を貶めようとする奴がいる。  それとも社外の人間なのか?このままでは犯人の思った通りにされてしまう。 とにかく一ヶ月の間に何かアイデアを出さないとならない。とにかく今は家に帰って警察に相談をした方がよさそうだ」 林進は携帯を握りしめて震えながら周りを見回した。 「いったい誰なんだ?俺の命を狙っている奴は」 これが二週間前に俺に起きた事だった。 たった二週間前に……。
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