番外編➁ 務の彼女

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ともあれ。 俺は天使の助手としてやるべきことをした。 とはいえ、ごく普通のことだ。 彼女の定期を最寄り駅へと届けたのだ。 これで紛失物として駅の係から連絡が入って、保管されてる場所に 取りに行くことになる。 務と桜の降る路上で押し問答しているところへ、駅からの電話が 彼女へと届いた。 彼女は安堵し過ぎて、その場にしゃがみこんでしまった。 「ごめんなさい。言えなかった......。 務と手をつないで、ずっと上ばかり向いて桜並木を歩くのが、 すごくすごく幸せで、桜と青空と務の横顔に見とれてたら、 定期を落としてたって、言いにくかった」 「相変わらずポーッとしてるなあ。でも、みつかって良かった」 「みつけてくれた人、お礼がしたいけど、そういうの無いって」 「気持ちは伝わるよ。保管所ってどこ?これから行こう。 取りに行くのは早いほうがいいよ」 そう言って、務が手を差し出して、彼女が握り返した。 それらを俺は、リルと2人で横断歩道から見下ろしていた。 桜が顔の横にある。 恵比寿の桜って、満開になるとスゴイって初めて知った。
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