200某年、8月

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俺はいま、新宿の街を歩いている。 平日の真昼の8月の猛暑のなかで。 水分も取らず、しかも高熱の状態で......だ。 意識が朦朧とする、何度も人とぶつかりかける。 どこをどう歩いているのかも、わからなくなってくる。 人とぶつかり、弾みでよろけてうずくまり。 少し経つと、また歩き出す。 それを繰り返すようになってきた。 死ぬか?これ、死ねるだろ、死ぬよな。いや、いま死んだら... あいつらを恨んで、化けて出るかもしれねぇなあ。 じつに夏向きなホラーじゃないか、いや、笑えねえ話しだ。 その笑えねえ話しから、すべては始まったんだ。
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