200某年、8月

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いや、なんで? 常連客の顔はだいたいおぼえてる、アイツは新規だった。 それで辞めろって、なに? 風邪でも働かせるオッサンが酷とおもったから?え、それだけで? 確かにキツイ仕事だが、普段の俺の体力なら平気な範囲だ。 店主のオッサンも別に嫌味でもなんでもない、むしろいい人だ。 なに言ってんだか、いや、もうそれ以上の思考は無理だった。 ガチでフラフラする。 とにかく、はやく家に帰れる、ありがてえ。 病院は...めんどいな、薬局でいつも飲む風邪薬を買っておこう。 コンビニで簡単に食えるインスタントの雑炊とか買っておこう。 アイツには、看病とかさせたくねえからなあ... いまはアイツのバイトのほうが忙しいし。 そうして、ようやく自宅のアパートまでたどり着いたら......。 そしたら......。 ベッドに座った男女がキスしてた。 俺の同居人で、彼氏である務(つとむ)と 見知らぬ女の子が。 俺は体力の限界がきていて、そっと玄関のドアを開けて、そっと締めて ほぼ音を立てずに、のそのそと部屋へと入っていったから......。 2人は、俺が予想外の時間に帰宅したことに気づかないままで 目を閉じあってチューしてたわけだ。 風邪、変なイケメン、早退。 すべての偶然が......とんでもない結果を招いてしまった。
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