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いや、なんで?
常連客の顔はだいたいおぼえてる、アイツは新規だった。
それで辞めろって、なに?
風邪でも働かせるオッサンが酷とおもったから?え、それだけで?
確かにキツイ仕事だが、普段の俺の体力なら平気な範囲だ。
店主のオッサンも別に嫌味でもなんでもない、むしろいい人だ。
なに言ってんだか、いや、もうそれ以上の思考は無理だった。
ガチでフラフラする。
とにかく、はやく家に帰れる、ありがてえ。
病院は...めんどいな、薬局でいつも飲む風邪薬を買っておこう。
コンビニで簡単に食えるインスタントの雑炊とか買っておこう。
アイツには、看病とかさせたくねえからなあ...
いまはアイツのバイトのほうが忙しいし。
そうして、ようやく自宅のアパートまでたどり着いたら......。
そしたら......。
ベッドに座った男女がキスしてた。
俺の同居人で、彼氏である務(つとむ)と
見知らぬ女の子が。
俺は体力の限界がきていて、そっと玄関のドアを開けて、そっと締めて
ほぼ音を立てずに、のそのそと部屋へと入っていったから......。
2人は、俺が予想外の時間に帰宅したことに気づかないままで
目を閉じあってチューしてたわけだ。
風邪、変なイケメン、早退。
すべての偶然が......とんでもない結果を招いてしまった。
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