200某年、8月

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務とは、大学時代に知り合った。 正確には、就活を始めた頃に顔を合わせる機会が増えて 仲良くなった。 目指す職種が同じだったので、説明会や面接会場で一緒になって 次第に情報を交し合ったり、状況の厳しさを励ましあったり。 やがて2人して疲れてきた。 こういうのもう、馬鹿らしくね?と。 「もうさ、戦線離脱して、フリーターやるのも有りじゃないかな?」 と、務が言ってきた。 新宿の区役所近くの店の、二階の窓際のカウンター席で。 そのあとに。 「で、一緒に暮らそうよ。 それならバイト生活でも、やっていけるかなって」 と、付け足してきたのが......。 務からのプロポーズだった。 「おまえさあ、ハンバーガー食いながら言うこと?それ...」 めちゃくちゃ呆れながらも、めっちゃくちゃ嬉しかった。 俺はゲイで務はバイだ。 付き合えるまではいかないとも思っていたので。 尚更に、嬉しかったのだ。
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