彼氏くんと彼女ちゃんの話 9

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今朝は等圧線が見事に縦縞模様、西高東低冬型の気圧配置、……とにかく朝の冷え込みは半端なかった。 それでも起きる! いくらお布団が、うふふいらっしゃ~い、と誘惑してきても! 何故なら自分、朝の準備に時間がどれだけかかるのかをちゃんと把握しているから。 それは分かっていても温かいお布団には勝てない、という意見もあるだろう。 勿論自分だってそうだ、あの温もりに包まれて微睡んで、ウダウダ出来たらどれだけ幸せだろう。 ……それでも! マイ彼氏。 家がお向かいさんの幼馴染みから恋人にワンランク昇格した、素敵な彼氏くんと毎朝一緒に徒歩で登校しているのだ。 この彼氏くん、本人はあまり自覚はないようだけど、案外モテる。 無駄に爽やか笑顔を周辺に振りまくから、油断ならない。 食パンを咥えながら『遅刻遅刻~ぅ』など出来ないではないか。 やはり、素敵彼氏くんに見合うだけの彼女でありたいと強く思う。 朝の諸々のルーティンを削ることは出来ない。 さらにこの彼氏くんなかなかに時間に厳格で、毎朝必ず七時五十分には家の前に迎えに来てくれる。 彼に合わせているうちに、自分もそうなってしまったのだ。 「おっはよ! 今日はもう、寒い、寒すぎる」 並んで歩き出しながらそう言うと、彼は白い息を吐きつつ笑った。 「そんな、どこぞやの饅頭のCMみたいに言わなくても」 ちゃんと突っ込んでくれる、そういうところが好きだ。 「今日『大寒』らしいぞ」 「あーれー、おダイカン様、お許しをー」 「……。 そうだ、昨日の特番、あれ観たか……」 華麗にスルーするところはスルーする、そんなところも大好きだ。
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