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「それでね、『返信不要です』って言われて、『変身不要』って聞こえちゃってさぁ。 むしろ要返信で、要!変身なら大変だよねー、Yoo! 変身、yeah! みたいな?」
……失礼は承知しているが、彼女の話は大概くだらない。だけど、煩わしくない。 惚れた弱みなのかもしれない。
とにかく親父ギャグが好きなのだ。思考回路がダジャレ変換に切り替えられているようだ。
変身……そういえば。 小学生の弟の机の肥やしになっている『小学生のうちに読んでおきたい名作』の中に、カフカの『変身』が入っていた気がする。 このことを彼女に言ってもおそらくは『カフカ? お布団フカフカ? いやむしろ可、不可?』などとくだらないダジャレで返されてしまうだろう。
というか、彼女のそのマシンガンの如く親父ギャグの連発を浴びているうちに、自分までそういう思考回路になりつつある。 あくまで自分は口にしないだけで。
……人を好きになるってのはそういうことなんだろうな、なんて考えた。 相手に見合うように、今の自分からどんどん変身していくことなんだと思う。
「……聞いてる?」
「おぉ聞いてる聞いてる。 入浴剤の疲労回復効果よりきいてるぞ」
「……ふふふ……ニヤリ。 良きかな良きかな。 励むがよいぞ、ふぉっふぉっふぉっふぉっ……」
……しまった、口にしてしまった。
「奸計に嵌った……」
「? 関係にハマる? なに不倫とか?! きゃー!」
……あぁあ、もう。
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