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このイキモノガミは俺が鳥になるのを応援してくれる訳ではない、そして、一度限りのチャンスは終わろうとする。
鳥、人間、鳥、人間、鳥人間? ああ、もうダメだ、いっそ鳥になりたい。
「イキモノガミ、外に出てくれ」
「あいわかった、決まったのじゃな」
マルチーズとセキセイインコを抱え、オレンジ色の空模様、まさにタイムリミット。
「さあ、こいつにしてくれ、セキセイインコだ」
マルチーズは悪いが町に放してやった。イキモノガミが手を合わせると音が鳴る。
一度眠ったような意識の中断が起こると、俺だった体が手をバタつかせる、そして俺は手を広げると空を飛ぶ。
イキモノガミが手を振っている。そう俺は鳥になったのだ。なんと人間は大きいのだろう、映るもの全てが違って見える。
もう俺にはスマホも会社勤めもない、人間の世界の欲望の執着から自由になった。今度は食べ物にすら困る。
俺が選んだ選択なのに、空を腕をバタつかせて飛んでいると、ふとよぎる、ああ、そうか。別に生まれ変わっても、ストレスから解放されるわけではない、心と頭の持ちようなんだ。
人間達は気分転換に変身してるじゃないか、スマホにゲーム、マンガに読書。なりきった気持ちで没頭する。
俺はオレンジ色の太陽を見つめて、どこまで行けるかチャレンジしてみた。
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