終話 変身

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終話 変身

 自宅にたどり着く、太陽はだいぶ傾いてきた。ペットを置くと俺は鳥になっても食べ物に困らないように、スマホで調べる。  穀物や虫など大概はペットショップのエサが出るだけで、実際には鳥にならぬと解らないと言う事だ。  セキセイインコの生態には詳しくないし、変身しても人間の様に情報は手に入らないだろう。食べ物に困ったりして、イキモノガミは知ってるかもしれない。 「なあ、イキモノガミ」 「どうした」 「もしかして、食べ物に困ったりするよな」  イキモノガミはゆったり。 「勿論じゃ、生き物は食べ物で命を繋いでいる。動物には動物の世界、人間には人間の世界、植物には植物の世界があり、個々にして心で考える。要は考え方次第じゃ」 「それって鳥になったら食べ物、住む所、着る物には困らないとして、変身したら解放されるんじゃないか?」  イキモノガミが。 「何を言っておる。生き物は死ぬ。それが解放じゃ」  何を当たり前のこと。 「あ? 何言ってるんだ、だから俺は自由になる為に、鳥になりたいんだぞ!!」  イキモノガミはニッコリ、不適な笑みを浮かべると。 「人とて、ルールに乗るのも自由、会社に勤めるのも自由、食べ物に困ったりして餓死するのも自由。自由ではないか」 「なんだ!! このジジイ」  イキモノガミは愉快そうに笑うと。 「何も感じぬ、成るも成らぬもお主の自由。もう、タイムリミットは迫っておるぞ」  人間のままだったら社会の歯車、鳥になったら食べ物探しからやり直し、人間そんなに悪く、いや、会社が、なんで働くんだよ、寝てるだけで、お金が降ってくれば、ぐーたら楽しく遊んでるのに。
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