ちょっと片付けては難しい

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ちょっと片付けては難しい

「患者さんがうまく動けるように、ちょっとここらへん片付けてもらって、ここに介護ベットおいて、ここにポータブルトイレおいて、ここには手すりをつけた方がいいですねー。」 今まで気軽?ではないけど、入院したの患者さんに、「必要だから」と、住宅改修や福祉用具の導入を多くのご家族に提案してきましたが、 すいませーーーん。 どれだけ「ちょっと片付けて」が大変か、実家でやって、やっとわかりました。 実家は、こたつ、布団と生粋の和式生活。 父親がどんどんお相撲さんに近づいて、膝も痛くなり、床からの立ち上がりに時間がかかるようになった。 親戚からも「洋式生活にした方がいいわよー」 誰が片付けるん? 昭和初期世代の両親は、もちろん「もったいない世代」 「いつか使うかも」が部屋いっぱいに。 しかし、立ち上がりに時間がかかって、トイレに間に合わず失禁するこたもあり、母親が 「もう掃除が大変で、お母さん疲れた....」 うつっぽく、頻回に電話で涙されると、こちらも気が滅入るので、一念発起! 片付けるぞー! そして、そこから苦難の道のりが。 その頃は、1ヶ月に1回くらいの実家訪問が、精神的な私の限界。 でも、毎月片付けていけば、出来る! とてつもなく、あまい考えだった。 さすがに勝手に捨てるのは忍びないので、聞きながら、物を選別。 どう考えても、ホコリの溜まり具合から見ても、存在を忘れてた物も、聞けば、 「それ使ってる」 使ってたのは10年以上前ちゃうんかー なかなか進まないが、なんとか大量のゴミ袋を車に乗せて、ゴミ処理場へ直接運んだ。 分別して、出すなんてことは、すでに難しい認知状況。 高齢者がゴミ分別して、指定の曜日に出すって、かなり難しいよね。 とりあえずゴミを棄てて自分ちに帰り、ビール!スッキリしたな!とご満悦。 そして数日後、恐れていた電話。 「お父さんの黒のジャンパーすてたん?あれ、気に入ってたのに」 「かなりホコリかぶってたし、この前着てないっていってたよね。」 「いや、そんなん言ってないで」 そうなりますか....やはり。 認知症だもんね。 そして、母親もまあまあ認知症が進んでたので、買い物のレシートや書類を片付けたら、 「どこやったかわからん」 溢れる物も、1ヶ月後には、また同じように増えている..... そうなるか.....なるよね。認知症だもんね。 あえなく、ベット導入断念。 ポータブルトイレを置く場所確保断念。 今日の考察。 「ちょっと片付けて」は、とてつもなく難しい。 「本人に、捨てるか確認しても安心するな」 せめて仕事では、入院中、出来るだけ早めに患者さんのご家族に、福祉用具や改修が必要になるかも知れないので、片付けとかしといてもらうように声かけするようにしました。
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