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1.私のプロローグ ~子供のころの私~
彼と出会ったのは風が冷たい2月のこと。
私の最後の恋。
そんな素敵な恋が訪れる前の私のプロローグを書こうと思う。
彼に出会うまでの長い月日と沢山の嘘と裏切り…
私が運命の人と出会い、過去を清算していく恋愛ラブストーリー。
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「大きくなったらかわいいお嫁さんになる!」
小さな頃からずっとそう思っていた。
絶対なれると思っていたし、自分の夢に疑いも持たなかった。
母は家で漫画の色塗りの仕事をしていたため、私は幼稚園へ通っていた。
その頃の出来事があまりにもショックで今でも忘れられない。
大好きな男の子がいて、その子に顔を爪で引っ掻かれて
鼻の上に傷ができた。大人になっても残るほどの傷だった。
それを母に言って怒ってくれるかとおもったら
「あなたが何か言ったんでしょう?」
と言って、私の話を聞いてくれなかった。
相手に怒ることもしなかった母が嫌いだった。
その出来事は私の一生の心の傷になった。
小学校へ通い始めると母は保険会社に勤め、外に仕事に出かけた。
父は母の親戚の車の修理工場で働いていた。
家に帰ると誰もいない鍵っ子で隣の家の子とよく遊んでいたことを覚えている。
鍵を忘れると家に入れず、母に怒られ殴られた。
それを父がみて私を守ってくれた。
私は父が大好きで父といれば大丈夫。
そう思っていた。
小学校1年が終わるころ、両親が離婚をした。
何度も大ゲンカしていて、そのたびに
「どっちと行きたい?」と聞かれた。
私は迷わずに父を選んだ。
今となっては残酷なことを聞く母だなと思う。
子供にどっちについていくなんて私だったら子供に聞けない。
父と私は父の母(祖母)の家に行くことになった。
最後の日、母は泣いていた。それがとても印象的だった。
なぜ泣くのだろう。不思議だったのは
私は母が不倫しているのを知っていたからだ。
だから離婚になったことも全部知っていた。
だからあの時の涙はなんだったのか…
今でもわからない。泣きたいのは父と私のはずなのに。
私はそれからどんどん冷めた子供になっていった。
祖母は祖父に浮気され離婚をしていて、父の妹と二人で暮らしている。
私が物心ついたころには、すでに離婚していた。
その祖母も私が生まれる前からある人と不倫をしていた。
相手はタクシードライバー。
祖母は病院の家政婦をしていて料理がとても上手で
きっと胃袋をつかまれたのだろうといつも思っていた。
その人には奥さんがいて、私が小学校3年生になると
ついに別れの時が来た。
その人の奥さんが癌になり、介護が必要になったから
別れてほしいということだった。
祖母は荒れていた。
家政婦をやめた祖母は生命保険会社に勤めていた。
夜になるとパチンコへ行き、バーによっては男をお持ち帰りし、
朝、祖母の部屋を覗くと知らない男の人が一緒に寝ていた。
私はいまだに生命保険会社の人が好きじゃないのは
たぶん、母も祖母も働いていたからだとおもう。
完全なる偏見だけど、心が受け付けない。
父は真面目な恋愛を何度かしていたとおもう。
一人は切手コレクションをくれたお姉さん。
子持ちのバツイチで優しかった。
祖母に大反対されて別れてしまったけど
今思えば父の人生なんだから別れなくてよかったのにとおもう。
そしたら私も幸せになれたんじゃないか?
次に付き合った人は私の継母になった。
捨てられないように必死だったから
その時は気づかなかったけど、私は虐待されていた。
朝まで水を飲ませてもらえず、こっそり洗面所にいって飲んだら
ばれて朝まで正座させられ殴られた。
すぐに返事をしないと、タバコの火を押し付けられた。
一度だけ抵抗して突飛ばしたら、それが原因で流産したといわれた。
妊娠していたことを知らなったし、本当に妊娠していたのかも不明。
そうやって身体的にも心身的にも追い詰められていた。
父はそのとき夜勤の仕事をしていてほとんど家にいなかった。
だから私が虐待されていたことを知らない。
大人になってその話をしたら、なぜ自分に言わなかったのかと言っていた。
やっぱり父は優しいなと思った。
虐待された子供にとって一番の不安はきっと
自分の子供に同じことをするんじゃないかということ。
私はそんな不安を抱えながら、大人たちに笑顔で愛想を振りまき
捨てられないようにしながら、本当の気持ちをずっと隠して生きてきた。
本当は
「大きくなったらかわいいお嫁さんになる!」
ずっと持っていた夢を自分の中で守っていたのかもしれない。
現実を小さいころから見てきた私は、
嘘をつくことも笑ってごまかすことも、男を利用する生き方も
すべて知ってしまった。
私のきれいで素敵な夢がどんどん壊されていく。
そんな子供時代を過ごしていた。
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