4.事故物件・後編

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それから一カ月ほどして、伊織の心霊調査チャンネルは開設された。 身の回りの心霊現象を募集して、それについて調査をするという企画だった。 事故物件の企画で、話題を集めていたことや、電撃引退したばかりということもあって、それなりに話題を呼んだ。 「うわ、すげー! 10万人だって」 初回配信後、伊織はチャンネル登録者数を見て喜んでいた。 「マスクの自称霊能力者の人、絶対カッコイイってコメントすげえあるぞ。100万人突破したらマスク外すことにしたらどうだ?」 「いや、いいですそういうの。俺承認欲求とかないんで」 「……なんかムカツク」 コメント欄は、賛同ばかりではない。 ──辞める辞める詐欺 ──テレビとキャラ違くてショック ──また、オカルトネタで話題稼ぎか~必死だな ──昔は可愛かったのに 「コメント欄、閉じたらいいんじゃないですか」 思わず通報ボタンを押そうとすると、伊織が慌てたようにその手を止めた。 「いや、いいよ。ちゃんと反応見て、今後の参考にしたいし。そりゃムカツクけどさ。まあこれも、貴重な意見ってことで……それに」 伊織はそこで、狗飼の方を見て笑った。 「こいつらがどんだけ文句言っても、お前は一生、俺を推してくれるんだろ?」 「……はい」 力強く即答すると、伊織はくすぐったそうに笑った。 「不思議なんだけどさ、一人絶対的な味方がいると、百人敵がいても、なんか平気になるっていうか……」 「……ま、味方は一人じゃないですけどね」 「え?」 この笑顔を、守りたくて、どうしても守れなかった目には見えない彼らのために。そしてこの笑顔に救われた自分のために。 この先もずっと、何があっても自分だけは傍にいて、絶対的な味方でいたいと強く思った。 ─FIN─ 【あとがき】 読んでくださった方、ありがとうございました…! 思いがけずめちゃくちゃ長くなってしまって、読みにくかったと思います。 感想やスタンプ、本棚、スター、マシュマロ、全てが励みになりました!! 本当にありがとうございました! こちらもまた、短篇で番外編など書いていきたいなーと思っておりますので、またその時はぜひ、お付き合い頂けたら嬉しいです!
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