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それから一カ月ほどして、伊織の心霊調査チャンネルは開設された。
身の回りの心霊現象を募集して、それについて調査をするという企画だった。
事故物件の企画で、話題を集めていたことや、電撃引退したばかりということもあって、それなりに話題を呼んだ。
「うわ、すげー! 10万人だって」
初回配信後、伊織はチャンネル登録者数を見て喜んでいた。
「マスクの自称霊能力者の人、絶対カッコイイってコメントすげえあるぞ。100万人突破したらマスク外すことにしたらどうだ?」
「いや、いいですそういうの。俺承認欲求とかないんで」
「……なんかムカツク」
コメント欄は、賛同ばかりではない。
──辞める辞める詐欺
──テレビとキャラ違くてショック
──また、オカルトネタで話題稼ぎか~必死だな
──昔は可愛かったのに
「コメント欄、閉じたらいいんじゃないですか」
思わず通報ボタンを押そうとすると、伊織が慌てたようにその手を止めた。
「いや、いいよ。ちゃんと反応見て、今後の参考にしたいし。そりゃムカツクけどさ。まあこれも、貴重な意見ってことで……それに」
伊織はそこで、狗飼の方を見て笑った。
「こいつらがどんだけ文句言っても、お前は一生、俺を推してくれるんだろ?」
「……はい」
力強く即答すると、伊織はくすぐったそうに笑った。
「不思議なんだけどさ、一人絶対的な味方がいると、百人敵がいても、なんか平気になるっていうか……」
「……ま、味方は一人じゃないですけどね」
「え?」
この笑顔を、守りたくて、どうしても守れなかった目には見えない彼らのために。そしてこの笑顔に救われた自分のために。
この先もずっと、何があっても自分だけは傍にいて、絶対的な味方でいたいと強く思った。
─FIN─
【あとがき】
読んでくださった方、ありがとうございました…!
思いがけずめちゃくちゃ長くなってしまって、読みにくかったと思います。
感想やスタンプ、本棚、スター、マシュマロ、全てが励みになりました!!
本当にありがとうございました!
こちらもまた、短篇で番外編など書いていきたいなーと思っておりますので、またその時はぜひ、お付き合い頂けたら嬉しいです!
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