くるみの木のパン屋さん〈1話〉

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「はいはい、くるみの木のパン()ですが……」 「こんにちは。わたし、リスのメロンネです……」  電話(でんわ)のむこうで、こまったような(こえ)が聞こえてきました。  くるみおばさんはすぐさま、紙とえんぴつを持ってくると、たずねました。 「えーと、おとどけするんですね? 今日は、なにパンがいいですか?」 「あの、今すぐにとどけてほしいのですけど……。今すぐに」  なんだか、少しあわてているようです。 「今すぐね。なにパンがいいですが?」 「ミックスクリームパンを三つおねがいします。わたしの家、わかりますよね?」 「ええ、わかりますとも。メロンネさんは毎日(まいにち)、パンを買ってくれますしねえ」 「そうですか。おねがいしますね、今すぐに」  電話(でんわ)は、プツンと切れました。 「やれやれ……。いったい、なにを(いそ)いでいるのかしらねえ」  くるみおばさんは受話器(じゅわき)をおくと、ひとりごとを言いました。  ジリリリリーン!  また電話(でんわ)です。  こんどは、くまのアップルさんからです。 「やあ、こんにちは。いや、今ねえ、(きゅう)にパンが食べたくなっちゃって……。レンゲハチミツパンを三つちょうだい。すまんが、今すぐ家へ持ってきてくれないかね」  くるみおばさんは、ぎょっとしました。
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