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朝4時。外は静まり返り、道には人も車も見当たらない。
静寂を破って目覚まし時計が鳴った。
毎日予備校に通い始めて夜遅くなるが、朝は4時に起きると決めている。
「ぐごおおあぁ! 起きろ! 俺! 」
大手予備校の東大クラスに入った直也は、勉強についていくために睡眠時間を削る決意をしたのだった。
気合いと共に跳ね起きると、ベッドから降りた。
軽くストレッチをする。
だんだん意識が覚醒してきた。
だが、
「はうう…… いい夢見たなあ…… 」
トロンとした眼で恍惚に浸る。
これもいつものルーティーンである。
「いけね! よだれが…… 」
じゅるる……
こうやっていると、自分を冷静に見られるようになる……
大好きなエマは、壮絶な最期を遂げた。
あれは、誰のため、何のためだったのだろう。
自分は何て無力なのだろう……
思えばエマのために、何もしてやれなかった。
普通の人生を送っていたら絶対得られないものを。自分はたくさんのものを、もらったのに……
自分を責め、自分に対して怒りを爆発させることで毎朝意識を覚醒させ、自分を鼓舞し続けている。
精神的には不健全だ。
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