【小説】宇宙神エマⅡ・フィシメイキア ~UCHUJINEMA~

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 だが、それが超人的なパフォーマンスを発揮させていた。  月日は流れ、17歳になった中山直也は毎日全力で走り続けている。  周りの人間を置き去りにして、独り高みを目指し続けている…… 「さてと。続きをやるぞ! 」  机に向かうと、参考書を手に取った。  スマホをいじり、スピーカーから再生する。  BGMは「聴くだけ物理実況中継」である。  外はしんと静まり返っている。  これから夏がやってくる。  この時期は虫の声も少ない。  住宅街全体がまだ眠っているかのようだ。 「東京大学工学部、航空宇宙工学科…… 」  壁には目標にしている東京大学を書いて貼り付けてある。  それを何度も読み上げて心に刷り込んでいく……  JAXAの職員になるために、最も有力とされる学科である。  いかにも宇宙のことを存分に研究できる学科、という感じがする。  航空宇宙研究科はロケットや人工衛星の機体について学ぶ航空宇宙システムコースと、推進機器(エンジン)のことを学ぶ航空宇宙推進コースに分かれている。  探査機やロケットなどを宇宙に送り出す研究をしているのだから、今からワクワク感が止まらない。
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