第六章

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 この世界は僕とジョシュアのような関係を歓迎してはくれない。英国においては御法度だ。大ぴっらに彼を愛していると公言するなどできやしない。だが、それを彼はどこまでわかっているか。 「イーサンが黙っていろというのなら、俺はそうする。俺みたいなのが牢屋にぶち込まれるってのはわかってる。それで引っ張られた仲間もたくさんいるから」  ジョシュアは今年18歳になったという。次に捕まったら、それはもう保護ではなく逮捕になるんじゃないだろうか。  だからあの時、腹を刺されたときここに逃げてきたのは賢明だったかもしれない。子供の男娼は強制されてのこととなり、大きな罰を与えられることはないだろうけれど。  ――――どのみち、あの世界でしか彼らは生きられない。教育とチャンスを与えてやらなければ、また裏道に戻るだけだ。 「明日は自分の部屋で寝るんだよ」 「なんでだよ」  クリスマスイブの前夜。いつものように僕のベッドのなかで、子猫のように背を丸めて眠るジョシュアにそう言った。 「明日は姉たちが来るからだよ。まさか一緒に寝ていますと言うわけにはいかない」 「う……ん。仕方ないね。世を忍ぶ仲だから」  ジョシュアは聞き分けよくそう言った。少し寂しそうな顔を見せて。 「そんな言葉どこで覚えたんだ?」 「イーサンの本棚にあった本からだよ」 「そんな悪書があったかな」 「聖書だよ」  小馬鹿にしたような目で僕を見ると、ジョシュアはくすくすと笑いだす。 「まったく……さあ、もう寝よう。明日の午前診療が終わったらしばらく休みだ。しっかり仕事納めしないとな」 「イーサン」  ジョシュアは僕の胸の上に体を乗り上げ、キスをする。 「お姉さんがいる間、俺とは他人のフリをするんでしょ?」 「そうだな。そうなるな」 「我慢できるかな」 「してもらわないと困るよ」 「もしお姉さんが俺のことを追い出せと言ったら、どうするの?」  ジョシュアは不安げにそう問いかけた。 「姉はそんなことを言わないよ」 「でももし、そう言ったら」 「追い出すものか。誰がどう言おうが、僕はジョシュアとずっと一緒にいる」 「約束する?」 「約束する」  ジョシュアは嬉しそうに微笑むと、僕の寝間着の釦を一つずつ外し始めた。 「こら、寒いじゃないか」 「大丈夫だよ。俺が暖めてやるから」 「ふふっ。どっちが」  僕は体を起こし、入れ代わりに彼をマットに沈める。そして、自ら寝間着を脱ぐとジョシュアの首筋に唇を這わす。細い手首を掴んで抑えると、思考を溶かす吐息が聞こえた。
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