もう少し、を絶つ仕事

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「どうですか新堀先生、根本さんの容体は」  食堂で一緒になった担当医師である間宮が笑顔で聞いてくる。二人とも遅めの昼食だ。通常の病院のように急患が入ってくる事は無いので食べようと思えばいつでも食べられるのだが、診察もカウンセリングも長引いてしまうので大体いつも遅くなってから食事をしている。 「かなりいいですよ。今まで見てきたアルコール中毒の患者さんの中で一番いいと思います」 「血液検査の結果も良くなって来ています。アルコールが欲しいと思いつつも、家族に会うために本当に頑張っているんですね。お嬢さんから手紙を書いてもらっているのが励みになっているようです。新堀さんの提案が上手く作用してますね」 「娘さんも根本さんに会いたがっていますからね。中毒者は家族から見捨てられるパターンが多いから、このケースは見守りたいです」  束の間の穏やかな談笑。新堀は昼食を済ませるとじゃあ次の診察に行ってきますと食堂を後にした。
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