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ホテルの一室で一人の役者が息をひきとっていた。
とある映画の悪役をやっていた役者だ。
その映画の中の彼の演技を観た多くの映画評論家や映画ファンはそれまでの懐疑的だった意見をひっくり返した。
いや、それどころか、そのスクリーンの中いる彼が本物かどうかを疑う人も大勢いた。
それほどまでに彼は別人に観えた。
つまり完全にジョーカーに観えたのだ。
それどころか、それまでのジョーカーには宿っていない何か底しれぬ恐ろしさを持っていた。
彼は終始おどけていた。
彼は悪人も善人も関係なく利用し手玉に取った。
しかも彼にはこれと言って目的らしきものが見当たらなかった。
あるとすれば人々の絶望や裏切り。
彼が正真正銘のジョーカーである事は疑いようがなかった。
彼はその映画で数々の助演男優賞を受賞したが、もちろん本人が受け取る事はできなかった。
この数々の賞賛にほんの僅かの憐憫すら含まれてないことを証明する為にも彼は生きるべきであった。
ヒース・アンドリュー・レジャー
今は亡きJOKERの冥福を祈る。
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