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JOKERといえば、映画の題名ともなっているホアキン・フェニックスのジョーカーを思い出す人が殆どかもしれないが、その前にとてつもないジョーカーがいた事を書きたかっただけである(もちろんホアキン・フェニックスのジョーカーもそれまでの悪役像をひっくり返したと言えるのだが)。
そもそもの作品(ダークナイト)の素晴らしさもあるのだが、ジョーカー役のヒース・レジャーの神憑り的、否、悪魔がかり的な演技がなければあそこまでの賛辞は得られなかったのではないかと思われる(事実彼のアドリブの演技をあまり普段アドリブを認めない監督が多く採用している事からも彼の存在は大きい、作品中いきなり拍手しだすシーンなども本当は台本になかったとの事だ)。
もちろんダークナイト自体の特殊性も加味されなくてはならない。
この作品はヒーローものでありながら従来のヒーロー像とは程遠いものがある。
本来勧善懲悪すべきヒーローが何度も逡巡し自らの正義を問い直す。
それはそのままヒール役のジョーカーの特殊性に起因している。
このヒールには常識的な悪は通用しない。
相手が悪人だろうと善人だろうと構わず利用し揺さぶりをかけ命を奪う。
しかもそれが、金のためでもヒーローを倒す為でもない。
彼の望みは人々の中にある悪意の確認といえるかも知れない。
ヒーローの中に悪意を確認さえできれば自分の命すら投げ出そうとする。
彼はヒールでありながら常に問いかける者でもある。
さながらホラー映画のSAWを思い出す様なゾッとする二者択一を迫ってくる。
そういえば、SAWの悪役も自らの命を省みない事と歪んだ信念を持っているところは似ているといえる。
SEVENもそうであったが。
しかもヒーローものであるにも関わらず、ヒールであるジョーカーは超人的な身体能力を持ってるわけでも何でもない。
ただ、恐ろしく先を読む力がある事と人の心理を巧みに操る術を知っている事とおそるべき狂気を孕んでる事以外は普通の人間という点も恐ろしい。
この脚本においてジョーカー役を多くの反対をおしきって彼に抜擢した監督の目がどこまで優れていたかは作品になって始めてわかる事である。
と言うわけで私の拙作がダークナイトのジョーカーがモチーフになっているであろう事は鋭い読者には途中からバレていたとは思うが、内容は事実と異なる部分もあったり、完全に想像の部分もあったりして、読みづらいかもしれない(いや読みづらいに違いない!)。
彼がどうして亡くなったのかははっきりとしないのだが当時インフルエンザにかかっていたらしく、インフルエンザの薬とその他の薬(おそらく睡眠薬)との併用が良くなかったというのが事実らしい。
そもそも役作りの為に不眠症になるほどのストイックさがなければ併用などという事もなかったのだから、役作りの為に死んでしまったという表現も強ち間違いではないと思うが、自殺したというのはやはり間違いらしい。
彼の姉の証言ではジョーカー役をやり遂げた事に誇りを持っていて次回作にも期待していたとの事だ。
つまりは完全な事故に近いのかも知れない。
ただジョーカーという役に向き合うにあたっては命懸けとも言える準備があった事は想像にかたくない。
それは、ホアキンのジョーカーにおいても同じであろう。
最近、いたずらに憧れてお騒がせした男がいたそうだが、その名を語った事を後々恥じる時が来るだろう。
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