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ノックと共に扉が開く。店長が膝掛けを手に入ってきた。
「ほら膝掛け。あとお前のお母さんってのは金髪でこう……派手な赤いワンピース着てる人か?」
膝掛けをソースケの膝に掛けながらそう聞く。ソースケは黙って頷いた。
「よっしゃ。お母さんに『ソースケくん待ってますよ』って言ってくるから待ってな」
椅子の前に座り、ソースケと目線を合わせて笑う店長。息子さんがいると聞いたことがあるから、やっぱり子供の扱いに慣れている。
立ち上がった店長は、私に目配せをした後、再び事務所を出て行った。
ソースケの相手よろしくな、という意味の目線だろう。
ソースケに目をやると、膝掛けの隙間からガリガリに痩せた足が目に入った。
「ねえ、ソースケくんはちゃんとご飯食べれてる?」
気になって話題を戻す。
「うん、給食はおかわりしてるよ」
その割には痩せすぎている。お金がない、と言っていたし、ご飯も十分に食べることができていないように見えた。
まさか、虐待ではないか。そんな考えが頭をよぎった。
あの母親ならあり得る、と思ったところで、慌てて頭を振る。見た目で判断するのは良くないことだ。
とりあえず、母親の話を聞いてみて様子を見よう、と一人頷く。
ちょうど事務所のドアが開いた。
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