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「なんか、ソースケくんの方がしっかりしてますね」  2人が出て行った後、私はぽつりと呟いた。 「あれはクロだろうな」  店長が渋い顔をして腕を組む。 「クロ?」 「多分、虐待だろう。ネグレクトかもしれんが」  私は思わず唇を噛み締めた。 「母子家庭だとどうしてもな、母親の負担が大きいから」 「でも、虐待して良い理由にはならないです」 「それはそう。一番に考えるべきは子供のことだからな」  でも難しいよな、親も人間だし。店長はそう呟いて頭を掻いた。 「ただまぁ俺達の推測でしかないからな……もし次来てたら、注意して見といて」  そう言われて私も不承不承頷いた。店長にそう言われたのに、下っ端の私が勝手に動くのも憚られる。  ソースケにも彼の母にも、何事もないと良いけれど。  そんな私の望みは、その後簡単に打ち砕かれる。
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