2人が本棚に入れています
本棚に追加
「アイツなんか魚のカワハギに似てるよな」
クラスの男子が言ったその一言がイジメのきっかけになった。
元々内向的な性格で目立たない存在だった悠介は
そこから一気にイジメられっ子に転落して無視され
教室の『空気』になった。
クラスの男子が悠介の陰口を叩くと
翔太も同調せざるえなかった。
(本当に僕はそれで良いのかな?…悠介は保育園から一緒の親友なのに…本当の僕はこれで良いの?…)
深呼吸しながらどれくらい自問自答しただろうか
そのうち瞼の裏に広がる暗闇の中に
ボゥッと小さな光が見えた。
「見えたかい?翔ちゃん」
「うん…小さな光が見える」
「それは翔ちゃんの【心】だね。その光は
今どこにいるかな?」
「手が届きそうで届かない距離だよ。
そんな気がする…
光が言ってる。自分の気持ちに正直になれって
そしたら僕の身体に戻って来れるからって」
そう言って翔太が目を開けると
千代婆ちゃんのニッコリした顔が
覗き込んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!