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「アイツなんか魚のカワハギに似てるよな」 クラスの男子が言ったその一言がイジメのきっかけになった。 元々内向的な性格で目立たない存在だった悠介は そこから一気にイジメられっ子に転落して無視され 教室の『空気』になった。 クラスの男子が悠介の陰口を叩くと 翔太も同調せざるえなかった。 (本当に僕はそれで良いのかな?…悠介は保育園から一緒の親友なのに…本当の僕はこれで良いの?…) 深呼吸しながらどれくらい自問自答しただろうか そのうち(まぶた)の裏に広がる暗闇の中に ボゥッと小さな光が見えた。 「見えたかい?翔ちゃん」 「うん…小さな光が見える」 「それは翔ちゃんの【心】だね。その光は 今どこにいるかな?」 「手が届きそうで届かない距離だよ。 そんな気がする… 光が言ってる。自分の気持ちに正直になれって そしたら僕の身体に戻って来れるからって」 そう言って翔太が目を開けると 千代婆ちゃんのニッコリした顔が 覗き込んでいた。
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