終わりの刻

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 銀狐は冷え冷えと彼らを見回す。  精鋭の使役妖の群れに、十人がかり。そしてこちらは妖力を封じられている。 「行けぇ!」  号令が掛かった。  使役妖たちの咆哮が轟き、軍刀で花茎を薙ぎ払って男達が飛び掛かってくる。  銀狐は清良子の糸に爪を掛けた。  この玉の緒を断てば自由だ。尾の一閃、そして頭を握って潰し、心臓まで踏み抜ける。  だが。  きつねさまの、かぞくにして。  旦那様とお呼びしたかっただけ。  清良子は幸せです。  無垢な笑みが、斬り捨てられた花の向こうに蘇る。  清良子よ。だから俺は恐れたのだ。  おまえを傍におけば、俺はきっと弱くなる。  おまえのせいだぞ、清良子。  無抵抗の銀狐の胸に、十の針が突き立った。
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