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旧友との再会
高校時代よく遊んでいた4人でキャンプに行っていた時に、友人のノブから聞いた『泰文と佐和子が動画配信やってるらしい』というのを聞いて俺は気になっていた。
「ふぅ。動画配信ねぇ」
部屋でスマホを触りながら思わず呟く。
「ふふ、この前ノブ君が言ってた事が気になってるの?」
彼女の美優が横で同じ様にスマホを触りながら笑って問いかけてくる。
美優は鼻筋が通っていて、切れ長の目をした美人だ。
スラッとしたモデル体型で背も高く、街を歩いていてもスカウトされる事がしばしばあるらしい。
正直自分には勿体なさ過ぎるんじゃないかと俺は思う事もある。
「う~ん。まぁ、あの2人が動画配信してるってなるとやっぱり気にはなるなぁ」
「とりあえずその2人の動画見てみようよ」
意外な反応だった。
本人の口から聞いた訳ではなかったが俺の地元の古くからの友人達。特に女の子達の事を美優は快く思ってなさそうだったからだ。
「どうしたの?私がそんな事言うのが意外だった?」
美優と付き合うようになって早2年。
どうやらもう、表情や雰囲気で俺の心は読まれてるようだ。
「いや、まぁそんな感じ。俺ってそんなわかりやすい?」
「はは、私ぐらいになるとまぁわかるのよ」
美優は得意げに口角を上げて微笑む。
「まぁ昔の事はさて置き、今は健太の横には私がいる訳だし、ノブ君と昔の友人の話してる時楽しそうだったからさ。私のせいで気を使わせたくないしね」
『とりあえず気にせず昔の友人の事とか話ていいよって事かな?』
俺はそう理解した。
「実は美優とまだちゃんと付き合ったりする前ぐらいに泰文が佐和子の事気になってるみたいだったから少し話を聞いて頑張れよって言った後、どうなったか聞いてないから気になってさぁ」
「えぇそうなんだ。じゃあ2人で動画配信してるぐらいだから上手く行ったのかなぁ?」
美優は少し目を輝かせながら身を乗り出す。
それ程親しくない人間の恋愛事でも興味はあるようだ。
「とりあえず彼奴らの動画見てみようか」
そう言いながら俺は自分のスマホとテレビをケーブルで繋ぎ準備を整える。
「ちゃんと大画面で見るんだね」
「そりゃあ昔の友人の勇姿なんだからちゃんと見ないと」
そう言いながらスマホを操作し泰文と佐和子の動画を探しだす。
「おっこれだな。『さわとやすチャンネル』・・・あ、安易な名前だな」
彼奴ららしいと言えば彼奴ららしいが、少し嫌な予感がしていた。
「まぁ、わかりやすいチャンネル名でいいじゃん。要は内容だって。ほらこの子猫の動画見ようよ」
美優が折角前向きに見る気になってくれてるのでとりあえず動画を再生する。
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