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────────── 『今日、取引先の部長に見合いしないか?って言われた』 その言葉がグルグルと渦巻く様に取り付かれ頭が追いつかないまま、あの日あの時、葉流の部屋を後にしてしまった。 何も言えなかった後悔と自分に止める権利があるのかさえ何も分からない結弦は葉流の言葉がずっと脳裏に焼き付いて離れない この先、結婚して子供を作って家族を増やしていく。結弦は男だから、結婚はパートナーシップを使えば出来るが、子供となると無理な問題だった 深い溜息を吐いてデスクの上のパソコンの電源を落とし、まとめていた荷物を鞄に入れて持つ 「お疲れ様です。」 淡々と流れ作業の様にオフィスに残った同僚に挨拶を残してその場を去る結弦はエレベーターに向かう 定時を大幅に過ぎたビルの中は静まり返っていて人気も少なく、余計にこの前の事が脳内を再生させ、結弦の気持ちが下降していく····· 何時だって自分の隣なは葉流が居た。 それはずっと続くと心の何処か片隅で思ってたのだ。それはずっと続く事は無いのだと思い知らされた結弦はキュッと鞄の取っ手を握る力を強め 何も言えない自分を噛み締めるようにエレベーターの階数を示す数字を照らす光を眺めているとスマホからの通知音が不意に鳴る 短いメッセージアプリの通知内容だった·········· 今日、会える?
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