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かぼちゃが好きだ。何が好きって、これを切る時と種をくり抜く時がたまらない。
先ずは半分。よく研いだ包丁を振り下ろす。
なかなか切れない。自分の手を切らないよう注意して、包丁をギコギコと前後に動かす。
めきめきと音を立ててかぼちゃが真っ二つになる。何という達成感。だが、まだ終わりではない。
さらにそれを二等分。めきめきぎごぎこ、きっと人の肉や骨を切るときもこんな感触なのだろう。
これは予行練習だ。大嫌いなあいつを殺すための。
四等分した、かぼちゃの種をスプーンで丁寧に取り除く。ぐりぐりごりごり、1粒も残さないように。これも予行練習。あいつの目をくり抜くための。
綺麗に種を取ったら、もう一度半分に切る。
鍋に放り込んで、醤油や砂糖や味醂やらを入れて煮込む。
あんたを切り刻んだ後も、そんな風に美味しくなれば良いんだけどね。
そう思いながら、笑って夫の前にかぼちゃの煮物を出す。
何も知らず、いただきますも言わずそれを食べる彼を、かぼちゃのようにバラバラにする想像をして、私は毎日過ごしている。
いつか絶対実行してやる。そう思いながら、包丁を研いでいる。
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