Don't ask why…

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周りは山に囲まれていて街中(まちなか)からは程遠い。自慢できる事と言えば土地の安さと星の見やすさくらいか。そんなド田舎にある家で夕食を摂っていた時だった。扉と一体化した郵便受けにコトンと何かが落ちる音がした。何だ?今日の配達はもうないはずだが。 夕食を放置して中を覗くと、そこには赤い封筒があった。ついに来た!俺は嬉しさのあまり封筒にキスをした。 『抜擢おめでとうございます!期限は一ヶ月!見事達成された暁には賞金10000Gを贈呈いたします!』 こんなにあったら食うのに一生困らない。これで飢えから解放される! 赤い封筒。それは名誉ある主演の印。一攫千金のチャンスでもある。俺は(きた)るべき台本読み(顔合わせ)に備えて洋服箪笥を開けた。 コーディネートが決まる頃には夕食はすっかり冷めちまってたけど、そんなのどうだっていい。心は熱々で踊り狂っていたからな。 俺の名はジェームズ。どこにでもいる普通の男さ。まぁ、ちーっとばかし毛深いけどな。軽く頭に入れておいてくれ。 金は裏切らない。どこの国でもそうだろ?この時の俺は達成する自信があった。金に目が眩んでもいた。だから夢にも思わなかったんだ。まさかあんな事に足を掬われるなんてー
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