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どれほど時間がかかっただろうか。
頭痛と目眩もマシになり、目をあける。
ゆっくりと腕を動かし、腕時計に目をやると、時刻は
14時過ぎ。
いつの間にか眠っていたらしい。
上体を起こし、テーブルとテーブルの間の仕切りにもなっている棚に背をもたれて息を短く吐いた。
(たぶん、あれって先輩飲んだあとのだよな)
膝を抱え1人で考え込み唸っていると横から、寝息が聞こえてきた。
膝に右肘を付いて、左手で真っ直ぐに伸びた長い髪を一筋掬い、傷みなど知らないであろう艶やかな髪にそっと唇を寄せる。
「んっ……」
短い声が出され、慌てて髪を戻す。
朱音の頭が黒瀬側に少し傾くと色白の肌にふっくらと潤った薄紅色の唇が見えた。
考えるよりも早く体が動き、黒瀬は自分の唇を重ねた。
そっと軽く触れるだけのキス。
自分がなにをしたのか理解した瞬間、全身が赤くなる。
「まともに見れねぇじゃん……」
両手で顔を隠すと、もう一度深く息を吐いた。
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