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序章
「俺と結婚して下さい」
「はい!」
田舎で、何も無い町で三人兄弟の長女として生まれ育った私。決して家庭環境がいいとは言えなかった。
父親は飲んだくれ、母親はそんな父親の尻拭いにいつもイライラしていてヒステリック。
だから早く家を出たくて付き合っていた2歳年上の彼の家に転がり込んだ。
それが19歳の時。
そして21歳の春に妊娠が発覚。
彼も私も想定外の妊娠に戸惑いはしたけれど、彼は結婚の予定が少し早まっただけだからと笑顔で結婚を決めてくれた。
幸せが絶頂の中、プロポーズを受けた。
「順番はちょっと違ってるけど、2人で幸せな家庭を作ろうな」
「うん」
「婚姻届、書いて出さなきゃな」
「うん」
鈴木めぐみ
この日、私は鈴木になった。
夫は鈴木真。
この日の幸せな気持ちは今でも覚えている。
いつまでも輝き続けていたはずの、今は遠い幸せ…。
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